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人間失格 [本(エンターテイメント)]


人間失格 (集英社文庫)

人間失格 (集英社文庫)

  • 作者: 太宰 治
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1990/11/20
  • メディア: 文庫



「恥の多い生涯を送ってきました。」
言わずと知れた太宰治の自伝的名作。太宰の遺作?遺書?

かつて読んだことがある気がするけれど、改めて「よし!読む」と身構えて読む。


読後のドンヨリ感が凄まじい。
自殺未遂、心中失敗、アル中、薬物中毒と派手なダメ人間っぷりは
なかなか感情移入がし難い。
(感情移入しなくていいのか?文学として読むべき?)

ある種の人たちにとっては、主人公(太宰?)の心の葛藤は決して人ごとでは
ないのかも。それゆえ長く支持され続けているのかとちょっと納得。

「空気を読んで」自分を偽ったり、「嫌われないために」人を欺いたり、
大袈裟なことじゃなく、誰でも日常で何気なくやっていること。
そしてふと立ち止まった時、その不自然な言動に気づき、
「カァー」と真っ赤になって布団に包まりたくなる衝動は少なからずある。
主人公は、その自己嫌悪やこっ恥ずかしい感を常に意識し続ける
「気にし過ぎ」君のなれの果てといったところでしょうか。

ただ、ちょっとこの作品の書評などを検索していて気になったのは、
主人公の繊細さや、寂しさや優しさを、そして自殺までの苦悩を
肯定的に美しく読み解こうとするのはちょっと気を遣いすぎではないですか?と思ったり。
この小説を読んで共感する人が、繊細さや寂しさを美しいとして奉ったり、
精神的な弱さを印篭のように正当化するのには違和感がある。

小説として、この迫力と重厚感は凄い。

by dg23

***

そう、文学としてはわたしなんかにとやかく言われるレベルではないのは承知だけれど
実際、めんどくさい人だな・・・とか思ったりして・・・。

by345

タグ:★★★★★
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ダブル・ジョーカー [本(エンターテイメント)]


ダブル・ジョーカー

ダブル・ジョーカー

  • 作者: 柳 広司
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2009/08/25
  • メディア: 単行本



吉川英治文学新人賞と日本推理作家協会賞を受賞した
話題作『ジョーカー・ゲーム』の続編連作集。
当然、期待はデカイ。

戦時中、極秘裏に結成された結城中佐率いるスパイ組織「D機関」
日本国内軍部の対抗組織、海外のスパイ組織などとの暗闘も
緻密な情報戦と洞察で圧倒する。
そんな痛快な「D機関」の強さにしびれる。

しかし、読み進めていくとちょっと違和感。
前作「ジョーカー・ゲーム」はD機関の草創期からの物語で、
ドキドキする場面が満載だった。
今作は、既に圧倒的に鋭利で狡猾なD機関が相手を全く寄せ付けない。
ということで、読みながら誰がD機関かな?どこで出てくる?
って読み進めるだけで、盛り上がりに欠けたのは残念。
「実はD機関メンバーは○○でした~」的な後付け感があるのも、
最初は「マジか!そうくるか!」だったものが、「なるほど、そっちね」とサラッと流せてしまう。

読後も5編のうち、1~2作くらいしか印象に残らない。
期待が大きすぎて、厳しい評価。

中学生や高校生におススメ。純粋に熱くなれるかな?


by dg23
タグ:★★☆☆☆
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鴨川ホルモー [本(エンターテイメント)]


鴨川ホルモー

鴨川ホルモー

  • 作者: 万城目 学
  • 出版社/メーカー: 産業編集センター
  • 発売日: 2006/04
  • メディア: 単行本



この作者の名前は何て読むのかなと思ったら、
万城目(まきめ)学(まなぶ)だそうです。

この作品、映画になっているのは知っていたけど
ノリが軽そうでイマイチ読む気がしなかったけど、
最近書店などで良く見かけるなと思ったので挑戦。

お話は、京都大学に入学した主人公が
「京大青竜会」なるサークルに勧誘され、
他3大学との謎の対抗戦「ホルモー」に参加することに。
という不思議なサークルを舞台にした青春ストーリー。

「ホルモー」自体は意味不明。
大学対抗雪合戦くらいのノリで流し読みして良いの?
それとも「ホルモー」自体が何かのメタファー的な要素があるの?
テンポよく読み進められるから、あまり深く考えない。

青春ストーリーも、恋愛と友情とライバルと成長と…。
結構面白かったのに、感想を書いてみると
「アレ?面白かったのか?」不思議な感覚。

続編とか、「ホルモー」の戦略編とか、人気があれば色々な形で
広がりそうな作品。
通勤、通学に軽く読むのにおススメ。

by dg23

***

万城目氏、もりみー、わたしはともに無理です。
最後まで読めません。
この筆者達のバックグラウンドや語り口、ひととなりに興味がもてなければ
なかなか読み進めにくいかと。。。
(てか、たいてい大学生の話じゃない??)

ゆえ、dg23の評価星です。

by345
タグ:★★☆☆☆
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暗いところで待ち合わせ [本(エンターテイメント)]


暗いところで待ち合わせ (幻冬舎文庫)

暗いところで待ち合わせ (幻冬舎文庫)

  • 作者: 乙一
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2002/04
  • メディア: 文庫



乙一の短編じゃないモノを読んでみようと。
このタイトルも、本の装丁も、明らかに怖そうな予感がプンプン。

目が見えなくなった主人公の女性は、
友人との外出以外はほとんど家でひきこもり状態。
しかし、自分以外誰もいないはずの部屋に誰かがいる気配がする。

もう一人の主人公は、元上司を電車に突き落とし殺した容疑者として
追われる。そして、目の見えない女性の家に、ある目的のために、
沈黙を保ち居候を続ける。

あらすじを書いていると、
いかにも怖い設定で女性が可哀そう過ぎると思いきや、
無言の中に生まれる、ささやかな交流とそれぞれの優しさ。
サブストーリー?ともとれるミステリー要素が解決した後の
ストーリーの終わり方も個人的に好き。

沈黙の中での双方の緊張感、心理の読みあい、
にじみ出る「いい人」感。
主人公の二人の会話を繋げずに、この展開の良さは凄い。

タイトル通り、暗~い感じの始まりからは想像しにくい
穏やかなエンディングに安心し思わずホッとする。

他の作品は怖いのかなぁ・・・とか思いつつも、
もう少し読んでみたくなる作家です。

おすすめ。

by dg23

タグ:★★★★☆
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きみの友だち [本(エンターテイメント)]


きみの友だち (新潮文庫)

きみの友だち (新潮文庫)

  • 作者: 重松 清
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2008/06/30
  • メディア: 文庫



この作家を読みたくなる時って、精神的にポジティブな時なのか
もしくはネガティブになっている時なのか。
心理学的なことは分からないけれど、「泣けるんだろうな~」と
思いながら手に取る。

交通事故で片足が不自由になった女の子とその弟。
その姉弟の小学生~大人までに関わった人物達の
それぞれの性格や、「友だち」というものへの考え方などを
ピックアップしながら、それぞれのストーリーを紡ぎだす。

勉強も出来てスポーツも出来るクラスのヒーロー、
常に周りの顔色を見ているお笑い担当、
自分の立ち位置を模索する転校生、などなど。
誰が読んでも、登場人物の誰かと自らが重なるところがあるはず。

どうしてこの作家はこんなにも小学生や中学生の気持ちを
上手に表現できるのだろう。「そうそう。そんな感じ!」と
大人としては何度もニヤけてしまう。

「現代の子は…」などといっても、
いつでも子供の世界の人間関係は変わらないのかもしれない。
読後、「あいつら、今頃何してんのかな?」と
ちょっと誰かに連絡したくなる。

どういう世代に勧めるのが一番いいのか分からないけれど、
この本をもっと興奮をもって上手く伝えられないのがもどかしいくらい、
凄くおすすめ。

by dg23 

タグ:★★★★★
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ZOO1 [本(エンターテイメント)]


ZOO 1 (集英社文庫)

ZOO 1 (集英社文庫)

  • 作者: 乙一
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2006/05/19
  • メディア: 文庫



今更ながら、初めての乙一。
普段はホラーも短編集も避けがちなので、完全な読まず嫌いでした。

この「ZOO 1」の中には映像化されたモノらしい、短編5編。
短編だからなのか、こういう作風なのか
「え、なんでなんで?」「で?どうしてだったの?」という不思議感や不明感はすっ飛ばし、
“こういう設定”という風に物語はスタート。
個人的には「ヨウコとカザリ」「Seven Rooms」の2編が印象的。

なぜか母親からの愛情が片方だけに注がれる双子姉妹のお話「ヨウコとカザリ」

突然拉致され、7つの部屋に閉じ込められ、
死の順番を待たされる姉弟のお話「Seven Rooms」

理不尽さが怖さを増長させる展開も、最後に主人公にゆだねられる未来。
感覚的には、紐で縛っていた指先に、紐をほどいた瞬間に血が流れてスーゥとするような感じ。
意味不明だけど、なんか安心感というような。

なにはともあれ、この作家の発想力凄い。
独特の世界は読者の理性を越えてゆく。

あまり怖くなさそうなところで、この作家の別の作品も読んでみよう。

おすすめ。

by dg23

***

わたしも上記二つが印象に残りましたが、
言い方を変えれば他は全く印象に残らなかったということ。

ショートショートとして、それはそれで良いのかも。

わたしの★は2つ、dg23の★は4つなので
間をとって★3つ。

by345



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笑う警官 [本(エンターテイメント)]


笑う警官 (ハルキ文庫)

笑う警官 (ハルキ文庫)

  • 作者: 佐々木 譲
  • 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
  • 発売日: 2007/05
  • メディア: 文庫



映画化が大失敗したという噂の作品の原作。
大森南朋、松雪泰子ら結構キャストは面白いはずなのに。
でも、映画化されたんだから原作は面白いはずだろうと挑戦。

北海道の警察が舞台。
女性警察官が殺され、その事件に北海道警の不正を隠蔽しようとする上層部の
思惑が絡まり現役警察官が容疑者にされる。
かつて死線を供に潜り抜けた、容疑者のために一人の刑事とその仲間たちが
タイムリミットのある中で、真相解明に乗り出す。

というストーリー。

あらすじ書くのが下手かも…。
上のように書くと、なんかありがちなストーリーに見えてくる…。

終盤までの展開は特に目新しさはなく、うっすらと
「犯人は警察の偉い人なんだろうな…」と思いながら読み進める。
真犯人が分かり、今度はいかに容疑者とされた刑事を守るかと
なって一気にスピードアップ。仲間の中にいる裏切りモノとの
駆け引きには引き込まれる。

が、期待していたほどの、読後の痛快感は得られず、
最終盤はこの先を予感させるが、続編を読みたいかと言われると
若干微妙。

普通のミステリーと身構えずに読むのであれば、面白い。

by dg23

タグ:★★☆☆☆
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砂漠 [本(エンターテイメント)]


砂漠 (新潮文庫)

砂漠 (新潮文庫)

  • 作者: 伊坂 幸太郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/06/29
  • メディア: 文庫



久々の伊坂幸太郎作品。
読む前から安心感があります。

大学に入学した5人を中心とした青春ストーリー。
鳥瞰するクールな主人公。世界平和を願う変わりモノ。イマドキの男の子。
無表情のクールビューティー。かすかな超能力をもつ女の子。
そんな彼らの周りで起こるちょっとした非日常的な日常と、残酷な事件。
卒業後の「砂漠」を意識しながらも、事件に立ち向かい、
それぞれが成長?という変化をしていく。

さすがの伊坂作品。
あり得ない非現実的な要素もチラホラあるものの、興ざめすることなく
テンポよく読み進められる。


そしてそして、ちりばめられた言葉たちにガツーンとやられる。

仲間の出会いのシーンで一人が叫んだ言葉。
「俺達がその気になればね、砂漠に雪を降らすことだって余裕でできるんです。」

そして卒業式での学長のお言葉。
「学生時代を思い出して、懐かしむのはかまわないが、あの頃は良かったな、
オアシスだったな、と逃げるようなことは絶対に考えるな。」

「人間にとって最大の贅沢とは、人間関係における贅沢のことである。」

うんうん。
素敵な作品です。

若い友人に是非おススメ。
学校は友達を見つけるところです。

by dg23

タグ:★★★★★
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国境の南、太陽の西 [本(エンターテイメント)]


国境の南、太陽の西 (講談社文庫)

国境の南、太陽の西 (講談社文庫)

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1995/10/04
  • メディア: 文庫



不思議だ。

苦手だと分かっているのに、なんとなく読んでみたくなってしまう村上春樹。

読書好きとしては、周りが絶賛するから、読んでないと非国民だと思われるんじゃないか、
もしくは皆が好きなのにその良さが分からないのは
人として何かが欠けているのかもしれない。なんて強迫観念なのかな。

で、色々検索してそれほど大長編でもなさそうで、評価も概ね高そうなこの作品に挑戦。

うんうん、これは比較的読みやすい。
変な動物もしゃべらないし、途中でストーリーの迷子にもならないで済んだ。

かつて一人っ子同士ということで仲良しになった幼馴染の男女が、
30代の後半で再び再会してしまう。その時間の空白にも関わらず
これまで感じていた喪失感に気づき、惹かれあう二人。
愛する家族があり、普通以上の恵まれた生活もあるが、
全てを捨てる決意を・・・・。

なんか普通の不倫ストーリーみたいだけど深く描写された葛藤があり、
個人的に遠い世界のような日常感だけどお上品でお洒落で、
肩すかしを喰らった感じだけど、身近にあり得るかもしれないライトな現実感で、
村上春樹の作品が好きという人はそういうのが好きなのかなと思ったり。

よし、もう少しこの作者の作品への挑戦を続けよう。

by dg23

タグ:★★★☆☆
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セイジ [本(エンターテイメント)]


セイジ

セイジ

  • 作者: 辻内 智貴
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2002/02
  • メディア: 単行本



はじめての辻内智貴という作家の作品。
ミステリーなのか、恋愛モノなのかもわからず、なんとなく手に取った一冊。

旅行中にふと主人公が立ち寄ったカフェだか、バーだか。
そこの不思議な居心地の良さと不思議なオーラを醸し出す「セイジ」に惹かれ、
しばらくのあいだ居ついてしまう主人公。

淡々と進む前半だが、いそうでいない「セイジ」のキャラが気になり読み進める。
で、突然仲間に起こる大事件。
そして周りが戸惑い、悩み、苦しむ中、「セイジ」がとった行動は…。

「目の前で神様を見たから…」

まさに突然の「ありえね~」感だが、がっかりするわけでもなく
それまでの「セイジ」からすると必然なようにも感じられたり。

人と人とのつながり、人の哀しみを知ること、などなど
読み終わって好きな場面をゆっくりと読み返しながら
色々と考えさせられる一冊。

是非とも、この作者の他の作品も読んでみたくなる。
おすすめ。

by dg23

タグ:★★★★☆
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