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ZOO1 [本(エンターテイメント)]


ZOO 1 (集英社文庫)

ZOO 1 (集英社文庫)

  • 作者: 乙一
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2006/05/19
  • メディア: 文庫



今更ながら、初めての乙一。
普段はホラーも短編集も避けがちなので、完全な読まず嫌いでした。

この「ZOO 1」の中には映像化されたモノらしい、短編5編。
短編だからなのか、こういう作風なのか
「え、なんでなんで?」「で?どうしてだったの?」という不思議感や不明感はすっ飛ばし、
“こういう設定”という風に物語はスタート。
個人的には「ヨウコとカザリ」「Seven Rooms」の2編が印象的。

なぜか母親からの愛情が片方だけに注がれる双子姉妹のお話「ヨウコとカザリ」

突然拉致され、7つの部屋に閉じ込められ、
死の順番を待たされる姉弟のお話「Seven Rooms」

理不尽さが怖さを増長させる展開も、最後に主人公にゆだねられる未来。
感覚的には、紐で縛っていた指先に、紐をほどいた瞬間に血が流れてスーゥとするような感じ。
意味不明だけど、なんか安心感というような。

なにはともあれ、この作家の発想力凄い。
独特の世界は読者の理性を越えてゆく。

あまり怖くなさそうなところで、この作家の別の作品も読んでみよう。

おすすめ。

by dg23

***

わたしも上記二つが印象に残りましたが、
言い方を変えれば他は全く印象に残らなかったということ。

ショートショートとして、それはそれで良いのかも。

わたしの★は2つ、dg23の★は4つなので
間をとって★3つ。

by345



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笑う警官 [本(エンターテイメント)]


笑う警官 (ハルキ文庫)

笑う警官 (ハルキ文庫)

  • 作者: 佐々木 譲
  • 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
  • 発売日: 2007/05
  • メディア: 文庫



映画化が大失敗したという噂の作品の原作。
大森南朋、松雪泰子ら結構キャストは面白いはずなのに。
でも、映画化されたんだから原作は面白いはずだろうと挑戦。

北海道の警察が舞台。
女性警察官が殺され、その事件に北海道警の不正を隠蔽しようとする上層部の
思惑が絡まり現役警察官が容疑者にされる。
かつて死線を供に潜り抜けた、容疑者のために一人の刑事とその仲間たちが
タイムリミットのある中で、真相解明に乗り出す。

というストーリー。

あらすじ書くのが下手かも…。
上のように書くと、なんかありがちなストーリーに見えてくる…。

終盤までの展開は特に目新しさはなく、うっすらと
「犯人は警察の偉い人なんだろうな…」と思いながら読み進める。
真犯人が分かり、今度はいかに容疑者とされた刑事を守るかと
なって一気にスピードアップ。仲間の中にいる裏切りモノとの
駆け引きには引き込まれる。

が、期待していたほどの、読後の痛快感は得られず、
最終盤はこの先を予感させるが、続編を読みたいかと言われると
若干微妙。

普通のミステリーと身構えずに読むのであれば、面白い。

by dg23

タグ:★★☆☆☆
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砂漠 [本(エンターテイメント)]


砂漠 (新潮文庫)

砂漠 (新潮文庫)

  • 作者: 伊坂 幸太郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/06/29
  • メディア: 文庫



久々の伊坂幸太郎作品。
読む前から安心感があります。

大学に入学した5人を中心とした青春ストーリー。
鳥瞰するクールな主人公。世界平和を願う変わりモノ。イマドキの男の子。
無表情のクールビューティー。かすかな超能力をもつ女の子。
そんな彼らの周りで起こるちょっとした非日常的な日常と、残酷な事件。
卒業後の「砂漠」を意識しながらも、事件に立ち向かい、
それぞれが成長?という変化をしていく。

さすがの伊坂作品。
あり得ない非現実的な要素もチラホラあるものの、興ざめすることなく
テンポよく読み進められる。


そしてそして、ちりばめられた言葉たちにガツーンとやられる。

仲間の出会いのシーンで一人が叫んだ言葉。
「俺達がその気になればね、砂漠に雪を降らすことだって余裕でできるんです。」

そして卒業式での学長のお言葉。
「学生時代を思い出して、懐かしむのはかまわないが、あの頃は良かったな、
オアシスだったな、と逃げるようなことは絶対に考えるな。」

「人間にとって最大の贅沢とは、人間関係における贅沢のことである。」

うんうん。
素敵な作品です。

若い友人に是非おススメ。
学校は友達を見つけるところです。

by dg23

タグ:★★★★★
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国境の南、太陽の西 [本(エンターテイメント)]


国境の南、太陽の西 (講談社文庫)

国境の南、太陽の西 (講談社文庫)

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1995/10/04
  • メディア: 文庫



不思議だ。

苦手だと分かっているのに、なんとなく読んでみたくなってしまう村上春樹。

読書好きとしては、周りが絶賛するから、読んでないと非国民だと思われるんじゃないか、
もしくは皆が好きなのにその良さが分からないのは
人として何かが欠けているのかもしれない。なんて強迫観念なのかな。

で、色々検索してそれほど大長編でもなさそうで、評価も概ね高そうなこの作品に挑戦。

うんうん、これは比較的読みやすい。
変な動物もしゃべらないし、途中でストーリーの迷子にもならないで済んだ。

かつて一人っ子同士ということで仲良しになった幼馴染の男女が、
30代の後半で再び再会してしまう。その時間の空白にも関わらず
これまで感じていた喪失感に気づき、惹かれあう二人。
愛する家族があり、普通以上の恵まれた生活もあるが、
全てを捨てる決意を・・・・。

なんか普通の不倫ストーリーみたいだけど深く描写された葛藤があり、
個人的に遠い世界のような日常感だけどお上品でお洒落で、
肩すかしを喰らった感じだけど、身近にあり得るかもしれないライトな現実感で、
村上春樹の作品が好きという人はそういうのが好きなのかなと思ったり。

よし、もう少しこの作者の作品への挑戦を続けよう。

by dg23

タグ:★★★☆☆
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セイジ [本(エンターテイメント)]


セイジ

セイジ

  • 作者: 辻内 智貴
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2002/02
  • メディア: 単行本



はじめての辻内智貴という作家の作品。
ミステリーなのか、恋愛モノなのかもわからず、なんとなく手に取った一冊。

旅行中にふと主人公が立ち寄ったカフェだか、バーだか。
そこの不思議な居心地の良さと不思議なオーラを醸し出す「セイジ」に惹かれ、
しばらくのあいだ居ついてしまう主人公。

淡々と進む前半だが、いそうでいない「セイジ」のキャラが気になり読み進める。
で、突然仲間に起こる大事件。
そして周りが戸惑い、悩み、苦しむ中、「セイジ」がとった行動は…。

「目の前で神様を見たから…」

まさに突然の「ありえね~」感だが、がっかりするわけでもなく
それまでの「セイジ」からすると必然なようにも感じられたり。

人と人とのつながり、人の哀しみを知ること、などなど
読み終わって好きな場面をゆっくりと読み返しながら
色々と考えさせられる一冊。

是非とも、この作者の他の作品も読んでみたくなる。
おすすめ。

by dg23

タグ:★★★★☆
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雷の季節の終わりに [本(SF・ホラー・ファンタジー)]


雷の季節の終わりに (角川ホラー文庫)

雷の季節の終わりに (角川ホラー文庫)

  • 作者: 恒川 光太郎
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2009/08/25
  • メディア: 文庫



え、え、えと、どうして私がこの本を手に取ったか正直にいうと
本棚のすみにいつまでもあり、お風呂で読んでも良いかなと思ったからです。
(要するに、捨てるくらいなら・・・ということです、ごめんなさい)

のっけから『風わいわい』『隠』『トバムネキ』・・・。
漫画を始めとした空想の物語が非常に苦手な私には
はっきり言ってきつかった・・・。
人間世界と、「隠」という異次元の村の交錯。
きつくてきつくてたまらなかったけれど、頑張って読んでみた。

私は、やはり極度にこういう類いが苦手(漫画もアニメも見たこと無い)なので
そう感じるのだろうけど、設定を楽しめれば端正な作品。

イメージを膨らませたり、時にその世界に身を置いたりして楽しむことができれば
少々の荒さは気にならず読めるのでは。
ただ、クライマックスかなと思ったところはスカっと肩すかし。。

印象としては、ホラーゲームのストーリーにありそうな。

念のため、漫画などを否定してるのではありません。
本当に「苦手」なのです。
なぜだろう、なあ。。。

by345
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十八の夏 [本(エンターテイメント)]


十八の夏 (双葉文庫)

十八の夏 (双葉文庫)

  • 作者: 光原 百合
  • 出版社/メーカー: 双葉社
  • 発売日: 2004/06
  • メディア: 文庫



第55回日本推理作家協会賞を受賞、
「2003年版このミステリーがすごい!第6位」
という触れ込みに惹かれ、はじめての「光原百合」という作家に挑戦。

ペンネームなのかな?
綺麗な名前に、いかにも乙女チックな印象を勝手に抱く。
筆者の名前のイメージって結構重要かも。

北方謙三! う~ん男臭がする!
柴田錬三郎!時代小説!

と感じるのは後付けか・・・。

で、光原さんのこの作品。
連作ミステリーとなっているが、4編のうちミステリー色が強いのは
最後の一作だけ。
表題の「十八の夏」はひと夏の淡い青春の思い出ストーリー、
自分の十八の頃を思い出しても特にキュンとは来ない。
二作目、三作目はミステリー?ユーモアを交えて語られるストーリー
は微笑ましいばかりで、フフッと静かに終わる。

どうして、この作品が評価が高いのかイマイチ解らないのは、
相変わらずの純文学的な感覚の欠如のためか…。

しかし、連作で軽く読め、ひとつひとつの話には入り込める。
ちょっとした時間の合間にお勧め。

by dg23

タグ:★★☆☆☆
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同期 [本(エンターテイメント)]


同期

同期

  • 作者: 今野 敏
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/07/17
  • メディア: 単行本



今野敏の警察モノ。
「隠蔽捜査」ですっかりハマり、
「リオ」で若干、ガッカリしたものの、
この作者のモノを見つけると思わず手にとってみる。

公安部の同期が突如として、懲戒免職となり行方をくらます。
主人公が借りのあるその同期を探していると、巨大な権力の思惑に阻まれ
現在捜査中の事件にもその影が影響を及ぼす。
巨大な権力と向き合った時、その全貌が…。

というストーリー。

今回の主人公は、ごくごく普通の若い刑事。
ベテランの現場主義の刑事に助けられながら、
人格的にも成長しながら、殻を破って事件の真相に突き進む。
というありがちな展開。

ありがちであるが故、安心して楽しめる。
しかし、主人公と消えた同期との熱い友情は
「そこまでの関係かな…?」とあまり温度を感じなかったり。

最後、真相にたどり着くまでも、
急な駆け足感も否めない。
そんな大物に都合よく会える?そのヒントで気付く?
多少の都合の良さは、とりあえずスルー…。

男のドラマ的な熱さをスパイスにしている
基本は王道の「警察推理モノ」。

軽く楽しめます。

by dg23


タグ:★★★☆☆
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キュア [本(エンターテイメント)]


キュア cure

キュア cure

  • 作者: 田口 ランディ
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞社
  • 発売日: 2008/01/11
  • メディア: 単行本



かつて、この作者の作品
『コンセント』『アンテナ』『モザイク』の三部作を読んだ。

スピリチュアルな話やSF的なストーリーは苦手だったけど
それらの作品には不思議と引き込まれたのは若かったからかな?

偶然、見つけたこの作品。
あの頃どうして引き込まれたのだろうと、思いだしたくて手に取る。

特殊な能力を持つ優秀な外科医の主人公。
突然、ガンが見つかり余命が約一年と知る。
かつてその特殊な能力で救ったリストカットの少女と一緒に暮らし、
同様の特殊な能力を持つ看護師、主人公を慕い心配する研修医らに
囲まれながら、科学的な医療の対極にある
自らの特殊な能力に関わるスピリチュアルな世界、
宗教的な世界に身を置くことを受け入れ、自らの治療(キュア)を模索する。

正直、途中からじっくり読むのがキツくなってきた。
主人公の精神世界があっちこっちと飛んでいく。
スラーっと読み飛ばし、現実世界に返ってくるとまた読み進めるという
雑な読み方をしてしまいました…。

でも、こういう内容を表現できるという作家の筆力は凄いなと素直に思う。
この世界観、不思議だ。

苦手というか、霊感的なものさえ持ち合わせない者として理解がし難いだけで
嫌いではない。
主人公の「ガン」というものをメタファーとして現代に生きる人の悩みや葛藤なんかにも
当て嵌まるのではないか。
そういったものをロジックでまとめて消化する人もいれば、
もっと大きな精神的なフォローで乗り越える人もいる。

そんな話。

好きな人はとても好きであろうお話。


by dg23


タグ:★★★☆☆
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影武者 徳川家康 [本(エンターテイメント)]


影武者徳川家康〈上〉 (新潮文庫)

影武者徳川家康〈上〉 (新潮文庫)

  • 作者: 隆 慶一郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1993/08
  • メディア: 文庫



歴史小説は大好きです。
特に戦国時代モノが好きです。

でも、この時代の作品は超大御所たちの描いた作品から
ある程度の通説が出来ていたり、日本人の大前提として
知っている予備知識がある。

しかししかし、この作品、
「もしかしたら…本当にそうだったのかも…」と思わせる凄い作品。

天下統一を果たした徳川家康が、関ヶ原の戦いで暗殺されるところから始まり、
それを隠すために影武者である世良田二郎三郎なる人物がその後も
徳川家康になり替わり天下を統一するというお話。
当然、それを知るのは、二代将軍秀忠とごく限られた側近などのみ。
いかにそれを隠しながら天下を太平に導くか、本筋の徳川の息子との暗闘。
上・中・下と長いけれども全く飽きず、終わってしまうのが惜しいくらい面白い作品。

おそらくこの作品から、時代小説や歴史小説にはまった人は数知れずでしょう。

エンターテイメントとしても、それぞれのキャラの個性が立っていてメリハリがあり
分かりやすく、カッコいいだけじゃない人間の様々な感情にも違和感がない。

これはあまり、日本史とか知らない人がいたら信じてしまうかもしれないなと思うが、
時代小説を勧めるならば真っ先に思いつく作品。

凄くお勧め。

by dg23
タグ:★★★★★
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