イッツ・オンリー・ロックンロール [本(エンターテイメント)]
以前読んだ同作家の「路傍」が面白かったので、もう一つ読んでみようとこの作品。
主人公は34歳になっても、未だにロックでメジャーになることを夢見る男。
バンド仲間や、昔からの腐れ縁の男や女とともに、
面白おかしく過ごしながらも現実を見つめ苦悩し、それでも前を向き続ける。
後半にかけては挫折や悲劇に直面し、打ちひしがれるもそれでも戦う。
ロックの名曲(全然詳しくないから知らないけど…)に感情を乗せて、
暴力や酒、ドラッグと、いかにもアウトローなストーリーが軽快に紡がれる。
物語の設定は自分とは程遠いはずなのに、
同世代だからなのか、それともハードボイルド的なカッコよさに惹かれてか、
どっぷりと入り込め、かつ「そうなんだよねぇ~」と思わずうなずきたくなる言葉にうなる。
この世代、自分はもっと出来る、もっとスゴイと思いたい半面、
今だって、そこそこ悪くないじゃない?と現実を受け入れたい。
プライドと結果の葛藤や、「カッコいい」と「かっこ悪い」の境界線が都合よく行ったり来たり。
そもそも何がカッコいいのかさえ、基準が変わってくる。
「いい歳して何やってるの?」という問いを発してしまうこと自体がかっこ悪いんじゃないか、
「いい歳して夢を目指す」こと自体がカッコいいのかもしれない。
まだまだ「信じていれば夢はかなう」と言い続けてもいいのかもなと思える一冊。
同年代の友人に薦めたい。
by dg23
タグ:★★★★☆
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