新釈 走れメロス 他四篇 [本(文学)]
この人の本は少なからず読んでいるが、
こういうネタでしか書けないのだろうか。
青空文庫な名作をもとに、オリジナルの解釈をした作品。
京大生が愉快痛快に自堕落かつ有意義な時間を、独特の目線で過ごす。
といった内容に、マンネリを感じる。
しかし、この世界を描きたい気持ちもわかる。
私達の時代ですら、「日本のトップは京大」であって「東京へ逃げる」イメージがあった。
判で押したようなくくりの東大へは、校内でも面白くないタイプの人間が、
自由でおおらかな京大へは、いつ勉強しているのかわからないタイプの人間が進んでいった。
医学部へ行く連中も、理Ⅲでなく京大医学部を選んだ。
確かに私も「こっち系」の人間にくくられるんだろうと思うが、
生まれも育ちも東京で、ママとランチやレッスンにでかけるような
女子大生にも憧れた。
ゆえに、たとえ愉快痛快でも
この人がこのネタで書く限りは、生々しくねっとりとした感情が蘇る。
by345
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